・機材(音声)編


★場所。

 はーーるばるーきたぜーしものせきー。

 適当に歌うな俺。しかもベタだし。前にも使ってるし。

 という訳でくりらじの収録場所、通称くりらじスタジオにお邪魔させて頂きました。

 で、到着と同時にまず誰もが驚く、そして私も驚いたという事実。

 「収録スタジオ用にまるごと一軒屋」

 おいこらちょっと待て。

 普通さ、インディーズのインターネットラジオで誰もが苦労してるのが収録場所の確保だったりする訳さ。隣近所に気ぃ使いながら自室でボソボソと録るとか、カラオケボックスで録ってたら店員さんに目付けられて後日「スタジオ目的の使用お断り」とか張り紙されたりする訳さ。

 それがいきなり一軒屋かえ?

「まぁ正確にはこれは倉庫兼住宅で。その2階の部屋をスタジオとして割り振ってるんですけどね。」

 うを、いきなり出てきました。今回一連の説明を頂きます、くりらじのSAGさんです。今回はよろしくですー。

「どうもですー」

 という訳で。まずはこの当たりの説明から入りますかな。

 元々はくりらじも開始当初はどこぞの会社の会議室をお借りして、その中で毎回機材ドタバタさせながら収録したりもしておりました。

 でも次第に、

 という理由から、どこかの部屋を借り切って、そこで一切合切の作業をする、というスタイルに移行していきました、とのことです。

 ちなみにこの部屋は専用スタジオとしては2代目。

「この前はまた違う場所の地下室を借りて収録していました。そこは広くてよかったんですけど、地下室という特性上湿気がたまりやすく、機材がすぐやられちゃうという欠点があり、そりゃたまらん、ということで今の場所に移ったんです。ただ今の場所も広さとかに限界を感じつつあるので、次を探し始めるかもしれません。」

 とのことでした。

 まぁ事情はわかった。でもさ、まがいなりにも不動産でっせ?費用はどこから・・・・。

「ま、それはいろいろとねぇ」(BJさん談)

 こらこら、含み笑いするでない。

 まぁただ一般論的な回答をすると、まず都市圏に比べて相場が安いということ。そして純粋な住居用にこだわる必要もないので(収録と機材の保管ができればいい)、割り切って探せば個人でも財政的に手が出る物件は探せられるんじゃないのかな?とのことでした。最終的な負担額も教えてもらいましたが「あ、これなら払える」というものだったということもお知らせしておきます。

 まぁ実際問題。人員/機材が増加すると、場所の確保ってのはわてら聞き手側が思う以上に至上命題であろうことは想像に難くない訳で。やっぱり随分と走り回ったんだと思いますよ。本当に限られた個人でやるのか、それともある程度の増加を頭に入れるのかでもこの力の入れ具合には変化があると思いますし。この辺は作り手さんそれぞれで照らし合わせた上でお考えくだされ。

★機材構成

 さて、んじゃいきなり前置きが長くなってしまいましたが。いよいよ収録部屋本体の方に。

 ・・・・・うへぇ。機材いっぱい。さすが凝り性(笑)。確かにこれだけ並べられると圧巻です。写真何枚か取らせて頂きましたので別途ご参照ください。でもこれだけあるとそりゃ専用の場所無いとやってらんねぇなぁ。

 ちなみに部屋は8畳間。簡単に図示するとこんな感じ。

スタジオ間取り図

 なんで謎のベッドがあるのかはここでは言及しません。

 で、気になる機材構成もここで出してしまいましょう。

機材構成図

 なお、この構成図はまだすべての機材は反映していないということに予めご留意ください。

 その上で。なんか気付くことありません?わかんない方は、過去に作成しました「インターネットの作り方」(Radio13様共同企画)をご覧下さい。

 そうです。実は基本的な流れとしては、そう特別なことをやってるという訳ではないんですな。マイクで音を集め、ミキサーでさらにそれを集め、BGM重ねたりエフェクトかましたりしたのをアウトプットに流し込む。この流れってのは規模の大小あれども「変わらない」っつーことなんですな。

「あと私たちの場合、基本構成に関してはある程度初期で固まってるんですよね。あとは欲求に応じて個々の部品を変えていく位でしたから。くりらじを立ち上げる時点でこの辺のノウハウがある程度わかってた(*)というのも大きかったんだと思いますよ。」

(*)くりらじのスタッフには過去に放送局(FM/コミュニティ)で働いてたり出演してた方が複数います。

 つー訳でここでひとつ結論が出てしまいましたな(笑)。ハード、特にこと音声に関する部分では、実は過度に力を入れる必要はないと。現状持っている機材が自分のやりたいことができているかいないか。これのみを機材投資を行うか否かの判断材料にしてしまってもいいと。

 だから逆を言えば、数人でとりあえず音が拾えればいいや、というのであればマイク数本+ミキサーだけでも全然問題ない、ということになる訳です。

 まー冷静に考えてみれば当たり前のことなんですけど。どうしてもこうゆうハード面って目が行ってしまうし、過大評価してしまいがちですからね。最終的には「どれが必要か」の選択眼をしっかり持っておくこと、というのが必要になってくるということなんでしょうな。

 んじゃ機材(音声)編おはり。ではあまりにも寂しすぎるので、ここで無理をお願いして、過去に使ってた機材とかをひっぱり出してもらいました。すまぬのぉ。

★マイク

マイク
*以降クリックすると大きい画像が見られます(一部除く)

 まずはこの写真を。左側、右側に2種類マイクが並んでいるのがおわかりでしょうか。

 左側にあるのが、そこらの電器屋で買ってきた(本人談)カラオケマイク。1本1000円也。一方右側にあるのがAudioTecnica製のマイク。一本5000円。一本ずつ買い足す形でこちらにシフトしています。

 で、重要なのは、今でもカラオケマイクも使ってるぞ、と。人数増えた時や故障した時のスペアとしては今でも十分に使えるんだぞ、と。

★ミキサー

 次。集音の要、ミキサー。

 くりらじではこれまでに3台のミキサーを使ってきています。世代順にご紹介。

YAMAHA AM802

 これが一番始めに使ってたもの。YAMAHA AM802。味も素っ気もないごく普通のミキサーです(いいんかそうゆう書き方して>俺)。ただ、くりらじの開設当初から人数は多かったため、予めこの時点でチャンネル数は必要だったとのこと。

FOSTEX MODEL350

 これが2代目です。FOSTEX MODEL350。初代のに比べ、マイク系BGM系でグルーピングができ、マイク全部のON/OFFがフェーダー1本で操作できて楽という特徴があります。またこれを使い始めた頃から、記録媒体をテープ/MDからZIP/MOといった外部ストレージを使用し始めるといった試みが行われ始めています。詳しくは後述。

YAMAHA ProMix01

 そしてこれが現在使用されている3代目。YAMAHA ProMix01。16chのデジタルミキサー。デジタルエフェクター、コンプレッサー、ダッキング機能内蔵。もはや素人の手の届かない所までイっちゃってます(笑)。

 現在では音関係の調整はすべてここで集約して行われ、このOUTがこのまま下のハードディスクレコーディングへと流れていく訳です。

★ハードディスクレコーディング

 ここがある意味「育て方」という観点で言えば肝になりますかな。

 ミキサーのOUTはそのままスタジオに常設されているMacintoshに流され、ハードディスク上に直接レコーディングされています。

収録用パソコン
(右側がレコーディング用Mac。左側は後述)

 くりらじの場合収録時間及び頻度がかなりハイペースになってしまう為、いちいち作る度に手作業してたら時間いくらあっても足らない、という理由でこの方式を取り入れてます。まぁ一種の一発録りですな。

 レコーディングに使われているソフトはMacromedia社のSoundEdit16。ここで一旦AIFFフォーマットに変換された状態でストックされ、配信準備作業が行われるのを待つ・・・という段取りになっている訳です。

 ・・・という感じで、まずは音の流れに沿ってざっと眺めてきましたが。ここで個人的に気に入った小物をご紹介。

★ヘッドフォン用アンプ(自作)

ヘッドフォン用アンプ

 これ何かといいますと、一旦Macに入っていった音源を再度引き出して、各パーソナリティのヘッドフォンに送るためのアンプです。SAGさん自作のご自慢(?)の一品。

「はじめは分岐ソケットとかを使ってたりもしたんですけど。そうなると音のレベルが下がっちゃって使い物にならなかったんですよ。でもこんなヘッドフォンばかり12個も繋げるものなんて市販されてませんし。なので自分で作っちゃいました」

 とのことです。

 大人数ならではの悩み、なんでしょーな。こうゆうのは。

★マイクスタンド(自作)

マイクスタンド(自作)

 これも自作もの。BJさん作。これにカラオケマイクをぶっ刺して番組作ってましたと。ちゃんとしたマイクスタンドを買い揃えてからまだ1年経ってない、ということで、存外に長い間活躍していたことになります。

「初め、ちゃんとしたスタンド欲しかったんですけど高くて。なんとかして安くあげられないかなー、と探してたらホームセンターでD.I.Y.もののパイプ棚を見つけまして。これだ!と(笑)」(BJさん談)

 個人的にこれ、手作り感がすごくしてて好きです。

★その他小物

 んじゃあとはざっくばらんに。

サンプラー(左端:さっきと同じ写真)

 写真使い回してスマヌ(笑)。

 左端に転がっているちっちゃい機械がサンプラー。いわゆる「ぴんぽーん」とか「ブー」とかの効果音出し用音源っすな。

 その他にもSE用として、

音出し用

 こうゆうMP3用プレイヤーなんかも使ってます。

 変わり種としては今は使ってはいませんが、ギター用のエフェクターなんかも安くあげるために使ってたとか。

「手で押そうとすると堅いんですよ。『なんでこんなに堅いんだよー』とか言いながら。本来踏んで操作するんだから当たり前だっつーの(笑)」

 だそーで。

 という訳で以上ざっとですが、機材を並べてみましたです。とは言えこの辺のところは、規模が拡大し、やりたいことが増えたりすることによって、いやが上にでも増えざるを得ない、というのが現実なんだと思います。

 ですので逆を言えば、こうゆう類のものはその「やりたいこと」が出来た時に買い足す形を取っていくのが財布にもやさしいし環境にもやさしい(笑)、ということが言えるのではないでしょーか。ミキサーの操作にも慣れてないのにいきなりウン十万の業務クラス買ったところで使いこなせなきゃ意味無いし、というのもありますしね。

 あくまで目的が優先。機材はそれを実現するための手段。

 これを肝に銘じておいてくださいな。


ソフト自動化編へ進む。
Index
Top