やっぱり下請けITに未来は無い


 なぁんか挑発的といえば挑発的だし、やさぐれてるといえばやさぐれてるタイトルですが。まぁ別にどう取ってもらっても構わないですけど。そのいなし方がやさぐれてるぞ俺。

 ちょいと前に下請けIT産業に未来はあるのか?(全文読むには要登録)、という文章見て、そん時には「あるか無いかの2択なら無い」ということでちょいと意思表示させてもらってたんですけど。よぉ考えたらなんでそうなるのかねぇ、ということでぐるぐると頭回してましたんですが。やっと片鱗が見えたかなぁということで成り行き任せに出してみる。以下勝手な独断に過ぎないかもしれんので、信じる信じないは好きにすれ・・・・あ、それはいつもか。

 まぁそれはともかく(←都合悪くなった時の口癖)。

 以前から、それこそIT云々以前の製造業やらなんやらの時代から、下請けという概念に対してはずーっと頭に焦げ付いてるキーワード、てのがありまして。

 「下請けは生かさず殺さず」。

 出所こそ不明(調べてないだけ)ですけど、誰かしら一度や二度は聞いたことあるんじゃないですかね?

 古くは奴隷時代。金を出して買った奴隷は、主人にとっては紛れも無く「資産」でした。こき使うはいいけど、度が過ぎて奴隷に死なれてしまうと主人は資産を失うことになると。だから死なれるようなことの無いように、食事はもちろん休日も与え、奴隷をできるだけ長く奴隷として使えるように気を使いました、とか。まぁドきつい例ですけどこれは典型的な生かさず殺さず。

 え?時代が古すぎてピンとこない?んじゃ現実例出しましょうか?今や肩で風切る勢いの超勝ち組企業トヨタ。名古屋は「石を投げればトヨタに当たる」と言ってもいい位トヨタ系が市場席巻しておりますので、必然的にいろんな話が流れてきたりするんですけど。今も昔も典型的下請けスパイラルによってなーんとか成立している、てのが実際のところでもありますわな。「乾いた雑巾を絞る」的なムチャな要求は日常茶飯事。今までに下請けの社長さん何人自殺してるんでしょうね、てのもまた事実の一側面ではあるんですな。

(どこかしこでトヨタ流カイゼンとかちやほやされてるけど、いまいち感情移入できないのはこの辺が理由だったりもする訳で。まぁこれは個人的な話)

 んでも、もう一側面を見てみれば、それこそ死人出してででもとことんやりきった結果として、今のトヨタの「業績」があるのもこれまた事実な訳で。殺す一歩手前のギリギリのところを常に狙って絞り上げ、それでも本当に死んでしまわないようにだけは注意する。これもまた生かさず殺さず、ですわね。

 なんでこんな話したかというと。奴隷にせよトヨタにせよ共通点はある訳です。結局殺しちゃうと自分も困るということ。具体的には奴隷買ったお金や下請けが持ってる細分化された技術や人員といったものを失いたくない。だからこそ「殺さないようにしよう」という意識が働く。これ今日前半のキーポイント。

 さて、そんじゃあわてらの世界に舞い戻って現実見てみることにしますかぁね。

 で、いきなり結論から行っちゃうんですけど。もはやシステム開発に関して言えば「生かさず殺さず」なんて状況はもうありえないんじゃないかな、というのを感じてまして。

 一言で言えば、

 「生かさず殺す」

 かと。生かさないor殺す。NOT LIVE OR DIE。合ってんのかその英訳。

 ミもフタも無いけど、もはやこうなっちゃってるんじゃないのかなぁ、下請けが一人や二人野垂れ死にしようが自殺しようが、上にとっちゃ屁とも思わないところまできちゃってるんじゃないのか、てのが残念ながら素直な感想でして。当分はこの前提を基にして下請けと元請け、さらにはその上のユーザまでひっくるめて、血しぶきが飛び交う展開になるんじゃないのかな、と私は予測しております。血も涙も無いけど。

 なんでそうなっちゃったのか、という部分に関しては比較的シンプルに説明できます。デマルコたん曰くの「簡単なものはもう作ってしまいました。もう残っているのは難しいものしか無いんです」が端的に示す需要の頭打ち。その一方で膨らみに膨らみきった供給過多。この状態が下請け<元請け<ユーザの「身分制度」を確立させているということはまず間違いないでせう。

 その上システム開発の場合、製造業とかと違って、専門性の細分化も十分には行われておりませんから(言ってしまえばどこに頼んでも似たようなもんができあがる)、それが「できなきゃポイの使い捨て」を加速している、という点も言えると思います。

(もちろんデマルコ師匠とかはこの使い捨て感覚を明確に否定している訳ですが。自分で手を汚さない連中にとっては「だから何?」なんでしょうなぁ)

 ですのでまぁ言い方を変えてしまえば、今の下請けの立場ってもはや「奴隷以下」ということなのかもしれません。コメカミに銃突きつけられながら不眠不休で仕事させられてると。夢も希望もあったもんじゃないですなぁ・・・。

 え?そんな身分でゴミのような安さでこき使われて。それじゃあ下請けの存在意義自体が無くなっていくってことじゃないのかって?

 うん、それはまさにその通りなんですけど。だからこそ「未来は無い」にBetできるということでもあるんですけど。それでも即座に下請けがバルサン焚いた後のゴキブリのように死滅するかというとそうはいかなくて。むしろ下請けもゴキブリみたいなもんなんで。その辺のところまず書かせてくらはい。

 もちろん下請け企業は下請け企業なりに考えてることがありまして。何かってっとしごく単純で「自分が生き残ること」。一種の生存本能ですな。

 今後も更に厳しくなる一方である中(絶対にラクにはならない)、いかにして生き延びるか、今後も仕事してお金を稼げるか、ていうのは下請けにとっても至上命題な訳で。まぁそりゃそーだわな。特に日本企業の場合経営陣がそれこそ財産から家から担保にして「落ちたら死にます」的なリスク背負って会社立ち上げてるなんて例も多いですし。

 でもね。やっかいなことに、この生存本能が、かえって「生かさず殺す」を加速させてる面があるよーな気がするんだな。典型的悪循環な考え方ですけどねー。自ら生き延びるために、むしろ率先して奴隷未満に成り下がる、というのはごく当たり前のように生じてると思います。

 たとえばこんな例。従来3ヶ月で作る予定だったシステムを2週間で完成させろ、というムチャな命令が現場に降りかかってきました(架空の例なのに現実味があるのはなんでだろ?)。当然現場はキレます。上に噛み付きます。ムチャにきまってんだろなんで受けたんだボケと。

 しかしその上は無表情に言い放ちます。

 「いいんだよ、別にやらなくても。」
 「会社無くなるだけだから。」
 「それでもいいんだったらどーぞ」

 まぁ普通の人だったらこれに対抗できる術はありませんわーね(優秀な人は逃げるけど)。

 上の人は上の人でこう言わざるを得ない理由がある。上でも挙げました、「供給過多」ですわーな。たとえ2週間がムチャとわかっていても、そのムチャを喜んで受け入れる同業他社は、それこそかき集めてビンに押し込んで溶かしてジャムにできる位いる訳で。ムチャですとムリですと上の上に泣きつこうが「じゃあ他の人に頼むから。バイバイ」でおしまい。なしのつぶて。しかも一度切られてしまえば今後のお仕事なんて夢のまた夢、あとは餓死するの待ちましょー、となるのも目に見えてる。

 となれば、利益がなかろうが現場に死人が出ようが、今貰った仕事の方が重要、という判断に至ってしまうのもわかるよーな気もするんですよね。あえて奴隷を受け入れようと。餓死よりも過労死。ひからびて死に面晒す位なら血でも泥水でもすすって生き延びてやると。なんかネズミの集団自殺みたいですけど、現実考えると笑えませんな。

 かくして下請け無間地獄に自ら足を踏み入れつつ他人蹴落としてでも生き延びてやる・・・そんな状況下だと思うんです。そりゃあデスマーチ無くならない訳だ。なんか納得。してどーする俺。

 でまぁ話を戻しますと、悪いけどこの状況は根本原因が解決されない限り無くならないんじゃないかなぁと踏んでおります。根本原因はもういいよね。「供給過多」。正直これから需要が大幅に増えるとはとても思えないんで、必然的に供給を減らす以外無いのかなと。

 私が勝手に想定してるシナリオはこんな感じ。

 数字に根拠は無いので深く考えないよーに。んでもまぁ言いたいことは伝わるのではないかと。末端から崩れ落ちていく図式ですな。

 で下請けがほぼ壊滅し元請けもフラフラになった時点で、初めてユーザ側の顔が青ざめるんではないかと(多分それまでは「知ったことか」とそしらぬ顔でこの世の春を謳歌するでしょう(笑))。

 だって単純に考えてみなさいって。やれ経費節減だのアウトソーシングだのと削りに削りを重ねた結果、もはやユーザ社内に残ってる人材なんて、自前でシステムすら作れないバカばっかりでしょ。だから頼めるところに頼むのであって。それが頼めるところが無くなるってことになれば、さすがに躍起になって動き出すでしょうと。

 じゃあどう動くのか。これはもはや推測どころか単なる予想なので外しても知ったこっちゃありませんが。私的には「アウトソーシング」の逆、「抱え込み」が起こるのでは?と思ってます。いわゆる先祖返り。

 じゃあそれはどこから?ていうのが、上で死滅した層の中から選りすぐって選んだ「生き残り」をかっさらっていく、ということになるんだと思います。まぁ実際にかっさらわれるのはごく一部のカシコな人だけだろうけど。

 でもそこまでやってはじめて、「供給過多」がやっと削れてくれるのかもなぁ、なんてことも思ったりしますね。それまではWin-Winなんて単なるエルドラド、無慈悲なゼロサムゲームの繰り返し、生かさず殺すの地獄絵図が常態のままなんでしょう。

 そして誰もいなくなったと。以上、超悲観的未来地図、終わり。

 あ、「じゃあどうすんねん」的な所には今回特に踏み込まずに終わらせておきますわ。考え方もそれぞれだろうし。とっととセグメント化された知識財産手に入れて生存競争から脱却試みるところも多いだろうし、ひたすら体力にモノ言わせて生き延びていこうとするところもあるんでしょうし。まぁ好きにすれ。

 ただこれだけは言わせておくれやす。会社や組織自体がどう動こうが勝手だけど。個人個人はまた別だからな。逆に個人でも考えろと。個人の意思抑圧して組織のいいなりになったって、結局は人生ドブに捨てるだけだぜーっと。

 んじゃあとは勝手にやってくれ。今回突き放したまま終了。


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