あたりまえのことを言われてしまった
という訳で(前フリ書いてねぇよ>俺)今回のネタはこれ。にっきの方では既にひとしきり大騒ぎしたんですけど、こっちの方でも改めて。
「ITエンジニアの「心の病」―技術者がとりつかれやすい30の疾患」。
本屋で見かけた時には「ふーん、こんなん出たんだ。とりあえず目ぇ通しておくか」程度のほぼ衝動買いだったんですけど、読んでみたら大当たり。
この本必読ですわ。全員読め。もうちょっと正確に言うなら、自腹でも経費でもなんでもいいからとりあえず一冊買って職場に置いとけ。K&Rの横に並べとけ。え?C使ってない?じゃあオライリーの横でも「SEの処世術」の横でもいいからとにかく置いておけ!
・・・・・「SEの処世術」を教科書と崇めるよーな職場には居たくねーな。反面教師ならまだしも・・・すまん筆が滑った(わざと書いたクセに>俺)。
まぁそれはともかくとして。なんで職場に置くことを勧めるかってことなんですが、まず単純にメンタルヘルスの基本的な考え方と典型的症状がわっかりやすく並べられているということ。PG/SE/PM/NEその他諸々いわゆるIT職が持つ「特殊性」をちゃんと吸収できている、ていうのが大きいです。おそらくこの一冊あれば入門編&及びいざというときの手ほどきとして充分に機能するでしょう。下地としての理解を整えたらあとは各々で範囲を広げるなり詳細を調べたりすればよろし。
そして今回取り上げる「PART 1:「心の病」を知る」なのですが。
これが素ん晴らしい出来なんですわ。導入部ということでメンタルヘルス対策がいかに重要かってことを訥々と語ってるんですが。ぶっちゃけ第1章だけでも値段分の元は取れます。それ位素晴らしい。ほんと岩脇一喜に送りつけてやりたい位(しつこい)。
具体的な内容に関しては是非買って読んで欲しいので、かなり端折らせて頂きますが(こうゆう本は売れなければなりません)。ちょっとマインドマップ取ってみただけでもこんな按配(作成時間15分)。
- FreeMindファイル(FreeMind, 右クリックで保存)
- HTMLエクスポート
- pngエクスポート(05/09/20追加、でかいです(笑))
刺激的にも程があるよな(笑)。よぉ調べてはりますわ。この著者さん(酒井和夫氏、立川秀樹氏)、共に精神科医であり産業医ですので、実際に現場の人間が潰れていく様を幾度と無く目の当たりにしてたからこそ書けたんだろうなぁ、と思う訳ですが。
それだけにね。「よぉ書いてくれた」と思う一方で、こんな複雑な感情もあったりするんです。
もはや日本のシステム業界って、こんなことですら外から言われないと気付けない位に価値観崩壊してるんじゃねぇか?目的見失ってただ立ち尽くしてるだけのゾンビの群れと化してねぇか?そこまで落ちぶれてたのかと。しかも当事者達には(自分含めて)落ちぶれてるという自覚すら無いのかと。なんかもう悔しいやら情けないやら腹立たしいやらで、読んでて涙出てきちゃいましたもんマジで。
そりゃあ確かにこのご時世ですし、メンタルヘルスって単語も以前に比べりゃ格段に知名度は上がりましたよ。本屋行けばうつ関連の本本いっぱい出てますし、ITProでも@ITでも定期的にメンタルヘルスの特集組まれます。
でもまだ、やっぱり心の奥底には「他人事」「自分は関係無い」といった抵抗的感情がまだまだ根強く残ってるということなんだろうなぁ。だからこそいまだに「潰れるヤツが悪い」なんて暴言をためらいもなく言える輩が後を絶たないんだろうなぁ、と。改めて考えさせられました。
たかが仕事で人生を棒に振るな。人の人生を消耗品の如く使い潰すな。よくよく考えれば、いや考えなくても当たり前のはずなのに。もはや自分達で考えることさえできない。他所様が言ってくれないと気付かない。
ここまで朽ち果てちゃってるってことなんでしょうかね。IT Proの「アンケートで分かった「心の病」の悲惨な実態」にて、「自己防衛しかない」という絶望的な結びをされてしまうまでにボロボロになってしまってると。わてらが思ってる以上に根は深いです。
さてと。それじゃ、これを踏まえた上でどーするか。なんですけど。
まず本に即する形を取るのであれば、それぞれ第2章の「30の疾患」を熟読する・・・・・必要は実は無く(パラパラ眺める程度で充分)。それよりは第3章の「デフコン」(Defence Condition)を熟読しておくが吉です。
ここで紹介されている「典型的症状」って、言い方は悪いんですけど「人がどこまで壊れてるか」を見るのに最適なんですよね。実際過去振り返ってもデフコン3まで壊れてる人が相当数オフィスを徘徊してましたし。「あーあん時はあの人ここまで壊れてたよなぁ」という実感が現場感覚としてありますわ。逆を言えばこれ読んで「デフコン4なんてありえねー」なんてことを言ってる人はこの業界には要りません。即刻退場してください。それ位の「ありふれた話」。
その上で、
(p.149より抜粋)
- セルフケア(労働者が自ら行うストレスの気付きと対策)
- ラインによるケア(管理監督者が行う職場環境等改善と相談への対応)
- 事業場内産業保険スタッフ等によるケア(産業医等による専門的ケア)
- 事業場外資源によるケア(事業場外の専門スタッフによるケア)
といった具合に広げられるかなんでしょうね。まずはパーソナルの確保、そこから徐々に輪を広げるように「潰れない」「潰さない」のセーフティネットを広げていきましょう、といったところか。まぁそんなに簡単に行くとも思えんけどね。ただとりあえずの現状としてセルフケアすらままならんLv.1未満ってのが圧倒的に大多数なのは間違いないことなんで。まずはそれなりの人数をLv1に引き上げる必要があるってことなんでしょうな。話はそっからだ。
と、Lv1に達してない同類の輩がほざいてみたりする、と。
どうしよっかな・・・病院行った方がいいのかな。
半分冗談。半分マジ。