著作隣接権て何ぞや

(ネタ提供:Click R@dio〜くりらじ〜様)


 ふーん、そうゆう訳なのかぁ。そりゃぐっちゃぐちゃになるのわかるわ。

 先程Click R@dio〜くりらじ〜「ベルエキップ」の04/18更新分を聴かせて 頂いておりました。

 その中でかつてからのインターネットラジオでの最大の障壁のひとつ、 「インターネットラジオの中で音楽を流せないか?」に関する調査結果の 報告がありまして。

 そうなんだよなぁ、やっぱり何だかんだ言いつつも、ラジオと音楽って 相当密接してるものだしなぁ。この先10年後20年後もグレーゾーン という訳にはいかない、いつかは決着をつけなきゃいけない問題でも ある訳でして。

 やっぱり音楽番組をやってみたいと。タダで流させろとは言わん、 払える範囲内だったら著作権料払うと。だったら実現できるかどうか 調べてみようや、つー訳でくりらじが関係者総動員して調べまくり、 その結果がまとまりました。

 すっげぇ興味あるなぁ。どうゆう風にまとまったんだろう。

 「えっとその結果なのですが・・・」

 わくわくわく。

 「無理!!!!」

 ・・・・・・。

 「絶対に無理!!!!」

 あらままままままま。脱力。

 うーん、やっぱりそうだったのか。がっくし。

 その後放送の中で「なぜ無理だったのか」を述べてくれました。 これはこれで文章にしておく価値あるなと思ったものですから、 放送内での説明を基に、自分なりにまとめてみました。 許諾快諾ありがとねん>くりらじ関係者ALL。

 何分モノが法律なだけに、「そんなん難しいしわかんないもん〜」という 言い訳なんか完璧に却下されるものですから、インターネットラジオの 制作関わってる人間ならぜひとも頭に入れておいて欲しいと思います。 いわゆる「無知は罪」ってヤツです。

(*ここ間違ってるよ、関係の情報は「ハック」までお願いします。 くりらじに投げて困らせる事の無いよーにね。)

 さて、まず説明を始めるに当たって、今回のキモになる「著作隣接権」つーのを 説明しておかなきゃいけません。

 基本的に音楽の著作権と考えるとわてらトーシロは「作詞者」 「作曲者」「歌手」「編曲者」当たりを想像するのが限界です。 ですが実際にはそんな単純なものじゃない。

 1枚のCDを作るにはそれ以外にもたーくさん!の 人手がかかります。よく言われるプロデューサー、ディレクター、 ミキサーとかのエンジニア、もしくは演奏者として名前は出ていない けど演奏に参加してる人とか、こうゆう関わった人にもすべて 著作権を保有する権利というのが存在しています。直接その作品を 作っている訳ではないけど、それに関わったということで、 著作隣接権、と呼ばれます。

 つーかこの概念、はっきり言って説明聴くまで知らんかったぞ俺は(笑)。 なんでこうゆうのがあるってこと説明してくれないんだ!>JASRAC&メーカー。 ぶつぶつぶつ。

 でも。じゃあ実際に作品をテレビとかラジオとかで流そうとして、 こんなもんいちいち許可取れる訳が無い。物理的に無理。 そりゃそうだわな。 シングル1枚作るのでも少なくとも数十人、下手すりゃ100人超える程の 人間が関わる訳ですから、一生かかっても許可取りきれる訳が無い。

 という訳で現実的にはこうゆう形が取られます。

 まず作品を創ったことに対する純粋な著作権に関しては、 所属のレーベルやプロダクションが間を通す形で、最終的には 著作権の委託管理団体(JASRAC等)に委託されます。

 一方、著作隣接権に関しては、JASRAC等の対象外になってしまうので、 これはレコードメーカーやプロダクション等がそのまま委託管理を しています。

 その上で、JASRACと各メーカーとが、お互いの権利を保障する ために(著作権料や使用許可範囲等を)どうしましょうかという話し合いを します。合意ができた段階で、最終的に合意規約の形で 使用したい側に提示されます(もちろん使用者側もこの合意条件決定時には 意見を出します)。そしてこの合意条件に沿った手続きを行って 作品を放映した分に関しては、著作権も著作隣接権も全部まとめて許可を 取ったことと「同じことにしましょうね」(ここがすっげぇポイント)つーことにしているんです。

 あー長かった。現状説明すんだけでこんだけの分量になるのか。 ねぇ、ついてきてくれてる?これわかんないと次のステップ進めないものですから 粘り強くついてきてください。

 んじゃ、これがなぜ「インターネットラジオで音楽を流すのは絶対に無理」 という結論に落ち着くのか。

 一言で言えば、著作隣接権を持っている側が、上に挙げた合意条件に 同意していないというのがもっとも短く的確な 回答になります。

 去年書いたJASRACをボロクソに叩いた文章の中で、JASRACとNMRCが 暫定同意したことによるストリーミング料金提示を紹介しましたが、 実はこの中には各メーカーが保有(委託管理)している著作隣接権と いうのは「完全には」組み込まれていないんですよ。つまりこの中での 料金ってのは作曲者や歌手などの、コアな部分の著作権料(=JASRAC側の 管理範疇内)分しか組み込まれていないんです。

*つーことはJASRAC側だけでこのボッタクリ料金設定なんかよ。 これに著作隣接権料含めたらいくらになるんだ一体。 確実にラジオ制作メンバー首吊りモンだなこれ。

 つまり、現段階では仮にJASRAC側のストリーミング料金払いきれたとしても、 それをネット上で流した時点で、著作隣接権所有者(団体)が 改めて一斉にたかりに来るという構図が成立すると。

「おらーぐだぐだ抜かすな!金よこせ!!」
「えー!?なんでよー!俺ちゃんとJASRACに金払ったじゃんか!」
「やかましい!あれは作者さんのための金じゃ!こっちにはこっちで てめぇから金を取る権利があるんじゃ!!」
「納得できないよそんなの!ちゃんと通すべきところ通してよ!」
「まだ口答えすんか!じゃあてめぇを著作権法違反で告訴して、その上で 損害賠償請求するからな!ケツの毛まで抜いてやるから覚悟しておけ!」
「鬼じゃ〜、あんたら鬼じゃ〜〜〜!!」

 こんな感じか(笑)。 いや、何もメーカーさんをヤクザに仕立てる必要性はゼロなんですけど。 まぁここはあくまでわかりやすさを強調するためのネタに過ぎないので 目くじらたてぬように>各メーカー連中。

 まぁ実際の話、裁判になったらまぁ99%メーカーの全面勝利に終わる でしょうねぇ。メーカーサイドの主張は明確に法律で保証されている 権利で、それを行使しているに過ぎないですから。わすは法律に関しては 素人レベルの知識でしかありませんが、それでもどう考えても 使用者側に勝ち目は無いと思います。

 つー訳で、わてら素人が思ってる以上に、実はネットで音楽を流す ための道のりって長く険しいんですよね。はー、個人にとっては 未来閉ざされたような気分にさせられるお話でした。

 じゃあこっからはあくまで私個人としての感想と妄想。

 なんでメーカー側はこの合意作業に完全に入り込まないのか。 いろんな思惑が絡みますわね。

 どれかな。全部という説もあるが。

 来るべき時にはちゃんと美味しいところは残しておきたい、それまでは 他人に手をつけさせたくない、となれば今まではっきり言って知られてなかった 著作隣接権なんてもん持ち出してまで、ネット配信の保留を続けるのも わかるような気がします。

 んー。わかるんだけどなー。

 いやね、私としてはインターネットラジオで音楽が流せる流せないに 関係なく、インターネットと音楽という違法の壁ガチガチの世界に風穴開けない 限り、旧来のレコード会社に未来は無いと思ってる んですよ。一刻も速くネット配信で儲ける、儲けさせる、この両方の プロセス(どっちかだけじゃダメ)を確立できなければ、 間違いなく市場から駆逐されるんじゃないかな、と。

 その危機感は、果たして当のレコード会社側にはあるのでしょうかね? 己の利益を守ってるつもりでやってる行為が実は己の食い扶持捨ててる 行為にもなりかねないってことをね。その辺にどうしても動きの鈍さ、 そして不安を隠すことはできないです。本当にこいつらに任せてて 大丈夫か?という意味での不安ね。あまりに頼りないのよ、現状見てると。

 同じことはJASRACとかにも言える点があって。本来作品の著作権を 守り、そして使いたい者に公平に配布すべきというJASRACの役割 考えれば、「自分達の領域だけ守れればいいや」なんて考え、 馬鹿の骨頂なんですよ。バカ市役所のバカ役人がやってるバカ縦割り 行政と何ら変わらない世界。

 違法MP3狩りにご熱心なのもいいけど、本来ならば違法MP3作るのが バカバカしくなる位の、適正かつ公平な筋道作りに率先してイニシアティブ 取ってこそ本来のJASRACの存在意義でしょ?インターネットラジオにしたって 本質は一緒なんだよ。これからは間違いなく誰もが「発信者」になりえる んだから。この価値観ブッ壊さなきゃ500年経っても何にも 変わらないよ。

 とこんなことを思っていた訳ですが。まぁどんなにわてらがJASRACや メーカー御中をボッコボコにぶん殴ったところで、結局は 彼らが「うん」と首縦に振らない限りは、決して前に進むなんてことは ありえないんですよね。どんなに警察をバカ者扱いしようが、 いざとなったら警察が最後の頼りになるのと一緒で。

 ですので、今後短絡的に馬鹿者扱いすんのはやめさせて頂きます。 代わりにこうとでも言っておこうかな。

 「しっかりせぇ!てめぇらそれでもプロか!」

 てな感じで。しっかり仕事して、わてらを「をぉ!さすがプロや!」と 驚愕させて欲しいもんです。期待の意味も入ってるんだからね。頑張って。

 あ、で最後にひとつフォロー。どうしてもこうゆうお話は権利権利権利と、 うざい話中心になってしまいますが、じゃあなぜこの権利が必要なのか? という部分に関しては立場を問わず常に頭に置いておかなきゃいかんことだと 思います。作る人あってのこの世界。作る人がいなかったら JASRACもメーカーもわてらも、存在意義無いんですから。

 つー訳で今回は以上。この件はまた積極的に追っかけていこうと思いまーす。


おまけ文章。この隣接権とかを絡めると、今までわてらトーシロが 大丈夫だろ、と思ってた抜け穴もほとんど埋まっちゃうんよ。 別ページにまとめておきましたので、こちらもご一読くださいませ。


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