「インターネットラジオのつくりかた。」

機材説明編


 <プロローグ>

 まず始めに素朴な質問。番組の録音ってどうゆうのイメージします? いわゆる放送局のように訳のわからんつまみがいっぱいある機材を いっぱい使って録音やってるイメージ?もしくはラジカセにマイク 一本つなげて喋ってるイメージ?

 この両者、ある意味では合ってるし、ある意味では 間違ってます。

 というのも、録音ってのを考えた場合、「どうせ録音するんなら いい音で録音したい」という欲求がある。と同時に「金がない」 という現実にも直面することになる。

 やっぱり残念ながら「金かける=いい音」の図式は存在するしね。 でもお金なんて誰だってないんだし。つー訳で番組作っていく上では やっぱり「理想と現実」は見極めていかなきゃいけないんよ。

 しかも追い討ちを掛けるように、ただ単に音声テープに取って それ流しただけでは、聞くに耐えられないような代物になって しまうという可能性もある。上は底無しでも下は限界がある。 あ〜せちがらい世の中だねぇまったく。

 つー訳で「出費はできるだけ控えて、そんでもできるだけいい音で」 を追求してみたいと思います。

 とは言え、私自身も録音なんてやったことすらないんだよね。 これじゃ書ける訳がない。

 ん〜どうしよう。しばし考えた後、一通のメールをとある方に出してました。


 <まずは構成>

 は〜るばる〜来たぜ大阪〜。唄ってどうする。しかもヒネリもなんもないし。

 てな訳で無謀にもインターネットラジオでも老舗に入るであろうRadio13さん の収録風景を見学させて頂くことになりました。百聞は一見にしかず。 細々と推測で文章入れるより、実際のやり方を目で追ってレポート形式に した方がわかりやすいだろう、という判断です。「ムチャな投資を していない=未経験者でも追いつきやすい」というのもモデルとして 選ばせていただいた理由です。

 という訳でRadio13のディレクターでもあり、今回のアドバイザー役も 務めて頂きます、オーマン・ツジさんです。よろしくお願いします〜。

「あ、お願いします〜。こんな感じでいいの?」

 いいですいいです。基本的な進行と説明は私がしますんで、 要所要所でコメントはさんで頂ければ。 んじゃまず実際にRadio13さんで使用されてる録音機材とその用途を 順番に教えて頂けます?

 という訳で出てきました出てきました、Radio13さん御用達録音機材の 数々。列挙するとこんな感じ。

 うへ〜。ようけありますなぁ。ちょっと体系立てて図にしてみましょ。

構成図、みたいなもの

 ・・・・・絵がヘタなのは御愛敬ってことで (苦手なんだよぉ図示すんのはよぉ)。

 これらの機材、大きく分けて3つに分類できることにお気づきでしょうか。

 こうなりますね。つまり単純に録音ボタン押してくっちゃべりゃいいや、と いうもんじゃないな、ということがなんとなくでもおわかりになると思います。

 あ、もう既に「こんなに機材用意できないよぉ」と泣き言が 聞こえてくるんですが。

「大丈夫です。これ全部揃えなければならないという訳ではありません。」

 だそうです。後程「安く確実に揃える最低限セット」についても解説しますので ご安心を。

 一応何枚か写真撮らせてもらいました。イメージ膨らませる意味でご覧頂けると(笑)。

 んじゃひとつひとつ機材の意味合いについて突っ込んで聞いてみましょう。


<マイク(人数分)>

・Radio13使用機種 ビクター・MV-J520

 という訳で喋りを録る唯一の道具、マイクなのですが。

 おや、ツジさんいきなり何か言いたげ。

 「インターネットラジオはマイクが命!1にマイク、2にマイク、 3、4がなくて5にマイク!」

 うわ!何もそんな大声出さなくても。しかるにその根拠は?

 「端的に言えば、マイクに資金つぎ込むだけでも音質は劇的に上がる と思っていいです。逆を言えばどんなに別の機械に金つぎ込もうが マイクへぼかったら苦戦が目に見えます。」

 では、ここまで言い切るための根拠を順に列挙していきましょう。

 まず根本的なところ。パソコンのおまけについてくるようなしょぼい マイクと高性能マイクの違いに、

 のふたつがあります。

 「取得周波数帯域の差」ってのはマイクが拾える 音の種類と考えていいと思います(もちろん厳密には違うけど、 そこまで細かく説明することに意義はないので省略)。人間の喋る声、 特に言葉を喋る場合って普段考える以上に幅広いんです。 そこに安いマイクを使ってしまうと、部分的に拾えない「音」が 生じてしまい、結果として聞き取りづらい話し声になってしまう訳。

 「取得音量誤差の少なさ」の場合は音の強弱と考えれば いいでしょう。言葉って「あ」なら「あ」、「お」なら「お」が 言えればそれでいい、ってもんじゃなくてそれらにアクセントや コンマ秒単位の無音などが絡み合って言葉となりえますよね (人間の耳は無意識の内にここまで聞き取っています)。この強弱を 拾えるか拾えないかは音質に大きく響きます。当然ながら 普段聞いてる声に近ければ近いほどいい音質と言えるんですな。 安いマイクだと強弱のバランスボロボロになっちゃうから 「聴くに耐えない」音にすらなっちゃうことがある。

 こうゆう理由により、安いマイクより高いマイク選んだ方が いいと言えるんです。ふ〜、短くまとめたかったのにそれでも長くなっちゃった。

 確かに安いマイクよか高いマイクの方が絶対にいい、というのは わかりましたわ。でもちょっと疑問も残る。 例えばよ。音質なんか無視しちゃって安いマイクにしちゃうってのはダメなの?

「でも高いマイクだと音質だけじゃなくて、作り手の作業負担軽くなりますよ。」

 へ?それどゆこと?

「パーソナリティが喋りだけに集中できるでしょ?」

 あ(膝を叩く)。

 安いマイクだと「マイクから何cmで、これくらいの声量で」ってのを 常に意識しながら喋らなきゃいけなかったそうです。これやらないと 音質ボロボロになるばかりか、音そのものが取れてないなんてことも ありえると。Radio13でも初期ではそうゆう現象が起こってしまい、 イヤになってマイク高いのに換えたら劇的に喋るのラクになったとのこと。

 確かにそれはでかい要素だ。

「同様の理由で無指向マイク、いわゆる会議とかで使われる多人数の 声取るマイクもあまりお勧めできませんね。」

 確かに無指向マイクだと声の特徴犠牲にしてでもマイクに 合わせて全員が声量を揃えないとダメだもんなぁ。

「無指向マイクの弊害に関してはミキサーのところでも詳しく説明します。」

 お願いします〜。(なお、無指向マイクでも弊害乗り切る策はあるのです が、値段&技術が素人では太刀打ちできないので割愛します。)

 んじゃすいません。マイク購入時のアドバイスを。

 「繰り返しになりますけど、特に喋りメインの番組ならなおさら マイクにはこだわっていいと思います。特にアマチュアにとっては 金かけた分がそのまま音質に反映できる唯一の機材ですからね。 あと、よほどの事情がない限り、喋る人間の人数分のマイク準備すること。 人間の声ってのは一番音量を揃えにくいものですから。 そして意外に忘れがちなのがマイクスタンド。購入時に一緒に 買っておかないと、意外に泣きを見ます。」

 だそうで〜す。


 <カセット、MD>

 これわかりやすいよな。まず身近にあるモノだからイメージも 掴みやすいし。この辺とかって何かこだわりってあります?

「ありません、あるのを使ってます。」

 あれれ?意外と簡素なお答え。

「BGMですから音出ればいいです。」

 あ、さいですか・・・・(ちょっと拍子抜け)。

 これはRadio13が完全にトーク一本勝負の番組を制作してる 性格上こうなっちゃいますわね。「音楽のために喋りが立ち消え ちゃったら本末転倒」ってやつ。

 ちなみに、もし音楽メインの番組を作るとなった場合に、 ここらで気を付けることってあります?

 「うーん、音楽メインの番組となると、相当に音には気を付けないと ボロボロになると思いますよ。トークメインですと聞き手はある程度 妥協してくれますけど、音楽メインだとかなり聞き手の評価辛く なると思います。ウチの機材フルに使っても苦しいんじゃないですかね?」

 うぐぐ。素人は聞いてはいけない質問だったかも。


 <ミキサー>

 Radio13使用機種:TASCAM・M-06 チャンネル数6 購入価格・1万5千円くらい

 出たっ、ミキサー。今回の機種別説明では肝になりそうなところです。

 ちなみにミキサーってのは「複数の音源をいっしょくたにまとめてひとつの 音にまとめる機械」と思ってればいいです。私もそれほど詳しくないですが ちゃんとこれで通じましたから。

 ミキサーがなぜ必要なのかですが、これによるメリットは。

 「声とBGMのバランス、そして何より声と声のバランスが取れる。」

 つーかこれこそがミキサーの存在価値。

 声量(ここでは純粋に声の大きさ)には当然個人差がある。でっけぇ声の 人もいれば小さい声の人もいる。でも、これをまんま番組の音に載せるのは あんまりよろしくない、とのこと。

 というのも当然ながら、放送になると声の大きい人ばっかりが目立って 声の小さい人がかき消されてしまいます。これはまずいと。んで両方の 音量を調節することによって、自然に会話に聞こえるようにする、と。

 そしてもういっこ重要なのが、同じ一人の人間でも放送中の声量は変わる ってこと。これ見逃しがちですけど大きいです。テンション上がれば 声はでかくなる。疲れれば声小さくなる。これもミキサーで 調節できるから常に一定レベルになるよう調節してあげる。

 確かにこれ聞くとラジカセにマイクつないで喋ればいいやって考えがガラガラと 崩れていきますな。音ひとつ取るんでも大変なんだ。

 ・・・・・・あ、そっか。無指向マイクだとこれ全部できないから お勧めしないんだ。納得。

「もし無指向マイクを使わざるを得ないのでしたら、パーソナリティの 人は、常に自分の声量に気を遣いながら喋ってください。でないと 素人にでもわかるようなボロボロな音になってしまいますから」

 だそうです。

 ちなみに冒頭の構成図にヘッドフォンを書き加えておりますが、 Radio13さんの場合は喋り録音→BGM混入→ミキシング→マスター保存 までを一発撮りでやってしまうため、ツジさんが 音量調整などを一括してやってしまいます。本格的〜。

 そのためにミキサーからのアウトプットを耳で確認するための ヘッドフォンが必須とのことだそうで。

「最低限、密閉型のヘッドフォンを使用しましょう。でないと外部の音が まじって判断できなくなります。」

 あ、そうゆう意味だったんですね。Radio13ではローレル&ランプ両氏の 2人喋り、+ツジ氏が加わる3人喋りの2通りのシャベリがありますが、 2人喋りの時はツジ氏はミキサー調整に専念しているという訳です。

 試しに私もミキサーいじらせてもらいました。適当にBGMを流してもらい、 マイク2本でくっちゃべってもらいながら、ヘッドフォンから 流れる音量を調節する。

 あ、これ結構面白い〜。ミキサー前面にあるでっかいツマミ上下させると 本当に音量変わる〜(この辺素人丸出し)。なるほど、初めにある程度 合わせてしまえば後はこの前面ツマミいっこで微調整簡単にできるのね。

 こりゃ確かにラクです。しかも未調整時と全然違うよホントに。

 んじゃこの項の最後にツジさんからミキサー購入のアドバイス。

「最近のミキサーにはエフェクトとかついてる多機能なものも ありますが、初めての方はこれらの機能は無視していいです。 シンプルイズベストで。エフェクターとかは単独で買って 後づけした方が後々使いまわしができて便利です。 ただ、チャンネル数だけは多い方がいいですね。人数増えると すぐに足りなくなりますので。」

 あと私からも補足。ミキサーって音扱う上では基本的機材ですから、 買ったはいいけどほとんど使わず持て余してるって人、結構います。バンド経験者を 中心に聞いてみましょう。いいもの安く譲ってもらえるかもしれませんよ。


<コンプレッサー>

 えっと、これはこれで重要な意味合いあるんですけど、この機材の 重要性知るには録音する側がそれを感覚的に理解しないといけないでしょう。 (実際、私も頭では理解できるけど、感覚としてはぼんやりしてます)

 という訳でここではざっと説明するにとどめておきます。この機材の 重要性把握してから、それぞれ検討してください。逆に言えば コンプレッサーを考えられる人はもうこの機材編読む必要なし (ってもうここまで読んじゃってるか、すまん)。

 もちろん、未経験者の方も「まず音を録る」ことに全力を注ぐ方向で。 あくまで中級者以上対象の機材です。

 コンプレッサーがどうゆう動きをするかというと、

  1. ある一定以上のレベルに達した音を一度設定されたレベルまで落とす。要は音の切り落とし。
  2. その後、切り下げた音もひっくるめて全体のレベルを設定量まで上げる。要は音の底上げ。
 うーん、意味はわかるけど難しいぞぉ(笑)。

 ま、そんな感じ。より上を目指すって方はどうぞ。


<ビデオ>

 ふぅ、ようやくこの項最後の項目まで辿り着きました。

 マイクだのMDだのの音源から、幾多の機材をすり抜けた音が 最終的にビデオテープに録音されます。これが次ステップのための マスターテープ(いわゆる音レベルとしての完成品)になります。

 ・・・あ、変?やっぱそう思う?わすも思った。 つうわけで質問。なんで録音の音質高いであろうMDで録音しないんです?

 「ひとつは録音時間を気にしないですむ点です。」

 Radio13の1回の放送時間は約75分。MDの標準録音時間は 74分。確かに1分足りない。でも、1分くらいならかえって ピッタンコになってちょうどいいんじゃないです?

 「NGがあるでしょ?」

 ・・・あ。

 Radio13さんの場合、仮にNGが出たとしても基本的にはマスターテープは 止めずに録音を続け、パソコンに取り込んでから編集します。 (編集の仕方はパソコン編集編を参照のこと)

 ビデオテープの場合、大抵の録音時間は120分(180分もあるね)。 NG分を足しても十分に余裕あります。これは大きい。

 あとビデオテープの音ですが、下手なカセットテープよかよっぽど キレイに音が撮れる。カセットのようにA面B面を気にしないですむというのも メリットだとこと。

 ほー。これは気がつきませんでした。

 ちなみに、録音にMDを使っちゃいけないということではない そうです。実際、MDでもモノラルでやれば倍の148分録音できますし (機種によってはできないことがあるので注意が必要)。

 Radio13の場合は、

 なども理由として挙げてました。

 ま、この辺は各自自分のやりやすいようにやるのが一番のようです。


 つー訳で機材説明編の説明しゅーりょー。盗めるところは盗みましょう。

 あとはこれらの機材をケーブルで結んで、マスターの録音ボタンぷちっと 押して、あれやこれやくっちゃべればマスターの出来上がり〜。

 んでは、ついでパソコン編集編へとご案内〜。


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