社員全員エセ講師
計画表を眺めつつ漏らします。
「しかしこれ全部やらなきゃいけない新人さんも大変ですね。土曜休み無いに等しいし。」
それ聞いたリーダー。さらりと、かつ明確にこう応えました。
「まぁイヤなら辞めるだけの話でしょ。」
その瞬間。何かが切れました。ぷつんと。
事の発端は前日の夕方でした。あぁ今日も早めに帰ろうかなぁと思ってた頃、会社から電話がありまして。明日7時に事務所まで来いと。その時は特になんとも思わなかったので「あい了解〜」程度に返事して、とっとと電話切ったんですな。まぁ今後のお仕事の話かお説教か解雇通告のどれかだろ、と。解雇通告を普通に選択肢に入れてる私の精神状態ってどうなのよという自己ツッコミも踏まえつつ。
で、当日になって事務所に戻ってみるとどうも様子がおかしいんですな。なんか普段顔見ない人まで含めて、わなわなと人がたむろってるんです。なんじゃこれはと。話を聞いてみるとどうやらほぼ全社単位で召集かけたらしいと。なんだなんだ何事か?ついに不渡りでも出したか?減給かボーナスカットか?業績悪化を理由に週休3日制導入か?ばんざーい。違うだろ俺。多少の不安と多大なネタへの期待を胸に待つこと十数分。
「それじゃ始めますので〜」とお声がかかります。「今から名前呼び上げますのでそのグループ単位で集まってください。説明はグループ毎に代表者から説明があります。」あ、全体でやるんじゃないのね。言われるままに呼ばれたグループの席につきます。
「という訳で今日集まってもらった理由なのですが・・・」説明が始まりました。そしてその後2時間。いやぁ荒れた荒れた。途中何回血管ぶち切れたことか。
いちいち詳細に書いててもあれなんでざざぁっと決定内容だけを書き散らしてみましょう。今まで自社では社員教育の一環として勉強会を月1回ペースで開いておりました。これは私も過去にエセ講師として引っ張り出された経験があります(詳細はこことかここをどんぞ)。ただ、どうも最近これがうまくかみ合ってない、という訳でこれらの仕組みを大幅に強化した、ということなんですわ。
- これまでの通常の勉強会(月1で社員の持ち回り)に加え、新たに3つの勉強会、技術フォローミーティング、レクリエーション会を設立する。
- 各会ごとに、一定期間以上勤務している社員全員をスタッフとして参加させ、各会の計画・運営はグループ毎に行う。
- 勉強会3つの内容はそれぞれJava、C言語(基礎)、C言語(応用)の3つ。技術フォローは現在行っている業務の技術要素について疑問点等を解消するためのミーティング。レクリエーションは花見だのテニスだのの遊び用。
- 勉強会等の講師はグループメンバーが持ちまわりで担当する。
- 開催日は土曜日。ボランティア扱いで参加者・講師ともに日当はなし。
- 新人(勤務1年以内)は基本的に全グループ強制参加する。他のメンバーに関しても出席推奨。出席率等は査定に採用する。
こんな感じ。
もうね。話聞いてる途中から頭痛くなってきましたよ。レベル低すぎ。話にもならね。こう考えてたのは私だけじゃなかったみたいで、「なんでこんなことをやるの?」「どこに意義があるの?」「これで成果は本当に望めるの?」いじめの如く問い詰めましたところ、やっとこさ口を割りました。
この件に関する決定は取締役レベルの意向によるもので、完全にトップダウンの指示として行われていると。で、どうやら営業レベル主体で行われてるらしく、人材の売り込みの際に「これだけの研修を受けさせました」「教育にこれだけの時間を費やしました」とすることで顧客にアピールするのが目的なんじゃないかと。要は「これをやってくれ」という箱ありきで、中身の議論なんぞハナから存在しないと。要はこれはもう決定事項なんだからぐだぐだ抜かすんじゃねーぞと。
ふーんなるほどね。リーダーさんの方からは「あくまで推測ですからね、私も聞いてる訳じゃないんで」とクギを刺されましたが、この推測、ほぼ事実と思って間違いないだろーな。逆を言えばその前提が無いとこうゆう企画が強行されること自体既に理解の範疇を超えてます。つーか今時そこいらの新興宗教でもここまでやらんぞ(笑)。バブル前の公共事業じゃあるめぇし、今更こんな役にも立たない大風呂敷広げる訳がないしね。これ聞いてようやく矛盾点がすーっと引き出された、そんな感がありますです。
まぁ、この計画100%大失敗に終わるであろうことは火を見るより明らかなんですが、「はいダメさよなら」で終わるのもなんですのでずらずらっと責めてみましょーかね。これお読みの教育担当者さんや、どうぞ人のフリ見て我がフリ直してくださいな。
まず言い切っておきましょうか。致命的欠陥3点。
「需要と供給のミスマッチ」
「吸収許容量超過」
「不明確な講師のレベル」
まだまだ叩けば埃はバンバン出てくるんですけどとりあえずこれらに絞らせて。 でないとキリがないんで。んじゃ順番に。「需要と供給のミスマッチ」。そもそも勉強会を開こうとした場合に、それやってホントに受講者側の役に立つの?という根本的な疑問はやはり拭えませんね。これ今までにも何回も口すっぱくして文句言ってたはずなのに、なぜにいまさらここまで退化せなならんのかなぁ。大体Cなのに(基礎)と(応用)を平行して受講させること自体どうゆうことよ?鼻で笑われるぞ、わかってる人にこんな話したら。人材のレベルを上げるための講習で、印象悪くさせてどーするよ(笑)。
これは間違いなく「こうゆうお題目だとウケがいいな」という営業サイドの思惑が裏目に出た格好だな、と思ってます。
「吸収許容量超過」。これはもう至ってシンプルですわーね。今回の各回増設にともない土曜日に行われる行事は6つ。1つ当たりに2、3時間は割かれることになるでしょうから、まぁ1日にこなせる会はせいぜい2つが限度でしょう。となると月3回は土曜日を会社に潰される計算になりますな。レクに関して言えば勉強じゃないじゃん、となりますけど、なんでわざわざ休日潰してまで社員と遊ばないかんねん。てめぇの人間関係は社員だけで十分か?新人に言わせりゃそれこそ「付き合ってられっか馬鹿」ですよ。事実上の週休2日制崩壊ですし。普通の神経の持ち主ならまずこの量にうんざりするはず。これ自体が異常。はっきり言って。
で、仮にこれをクリアしようとする尋常じゃないバイタリティの持ち主が新人さんにいるとしたところでさ。これだけの内容をすべて吸収できると思うかえ?できる訳ねぇじゃん、と私は思うんだけどね。50%でさえも怪しい。仮に百歩、いや五万歩譲って「新人に知識つけさせるための勉強会」であったにしても、こうゆうなんでもかんでもの詰め込み思想自体、将来性も発展性も望めないのは今更言うことでもないです。
最後。「不明確な講師のレベル」。普段おしごとばっかやってる人間がいきなり会議室のまん前に出てきてこれ喋れ、と言われたところで、それこなせる人間がそうそういるとはどう考えても思えない、という根っこからの不信感があるんですよね。悪いけど、自分も含めて回りの人達にそんなスキルは無いよ。従来の持ち回り勉強会だと、まだそれを補う意味合いはありますたわ。私も実際にネタにする収穫はありましたし(笑)。でも今回のこのやり方にそうゆう余裕も微塵も感じられませんな。
はっきり言うけど別物よ。自分が仕事をこなすためのスキルと、こなすための術を教えるスキルは。それをはなから「経験者だから教えられるだろう」と決め付けちゃうのはブレーキ点検もしないで崖の上からチキンレースやるに等しい自殺行為。
もし本気で社として教育させたいんであればこんなやり方じゃ絶対ダメなのよ。みんなエセ講師にしか過ぎないんですから。本腰入れて進めていくにせよ、少数精鋭で専門チームつくってそこで方針から詳細までビシッと決めてのやり方でないと絶対にうまくいきません。100%。断言してやる。もちろんその精鋭にはそれなりの報酬がつくことが大前提ね。みんながみんなでおしごとの合間にちびちびと〜、そんな「○○の勉強会をするための勉強会」にしてどーすんねん。破綻するに決まってるわクソボケ。
という訳でとりあえず血圧の上がるままにボロクソ書かせていただきましたが。じゃあこれを受けて実際に私がどうゆう行動を取るか、ということなんだけど。
実は既にサジ投げてたりします(笑)。知ったことかボケって感じで。社内の受け入れ難いんだけど受け入れざるを得ない的な雰囲気を見ても、既に社内の雰囲気は焦燥感から絶望感へシフトしちゃってると思うんだな。癌細胞の分裂増殖と一緒。これが企業生命縮めてるのは確実(むしろ勉強会云々よりもこうゆうことの方が深刻)なんですが、正直私一人の力ではどーにもならんのよね。つーかわす一人玉砕したって何も変わらん。相打ち覚悟の自爆テロ敢行する価値すら疑わしいですしねぇ。わはははは。笑ってる場合か。
つー訳で。私は例の如く私は己の保身に徹する予定ですわ。転職も含めた広いレンジで逃げのフィールド発掘いたしますです。逃げて逃げて逃げまくって〜。ついでにネタにして他所でこそこそ笑いを取る〜。人のことなんぞ知ったこっちゃありませ〜ん。
まぁむりやりこんなんに付き合わされる新人さんには気の毒かなとは思いますがね。せめて今度顔合わす機会でもあれば、「こんなんいいよサボっちまえ」とでもふっかけておきましょうかね。皆で広げよう不良社員の輪っ。
ま、人間のクズ一日にしてならずという言う訳で。言わねぇよ俺。
ところで。冒頭の意味深なやりとりなんですけど。
それ聞いたときは私、てっきり「ついていけない新人なんぞとっとと消えてくれ」な意味合いで使われてると思ってたんですけど。
あの時の荒み具合。そして表情を加味するに。
ひょっとして切れたのは私じゃなくって。
リーダーさん。貴方ですか?