「変化」を追尾せよ(+おまけつき)
前フリ代わりにこんな話を。
前に常駐してたビルでの某プロジェクト(私は所属していない、要はお隣さん)がこんなことをやってました。
特大のホワイトボード2枚をデーンと入口のところに置いておきまして。縦に月〜日の1週間の日付、横に時間をだーっと線引きして、ペタペタと付箋紙を貼ってるの。
付箋紙には何が書いてあるか。「○○進捗会議」「▲▲▲決定会議」「■■■■対策会議」「×××レビュー」・・・・・全部会議の予定じゃんこれ。何枚あるんじゃこれ・・・週に20枚は張ってあんな。毎週こんなことやってんのかこいつらは。
で、別のある時。そこのお偉いさんらしき人が、自慢げにこのボードの前で喋ってまして。なにげに盗み聞きしました私。悪趣味ってゆーな。自覚してるから。
「これ便利なんだよ。何かあった時にもすぐに変更できますし。目立つから全員が確実に目にしますからねぇ。会議の取りこぼしはありえないからな。管理はこれでバッチリ。お勧め。」
( ´_ゝ`)フーン。顔文字ヤメレ>俺。しかしこの顔文字考えた人はすごいなぁ。しげしげと眺めてると段々腹立ってくるよ(笑)。なんてこたともかく。
惜しいよねぇ。目の付け所は間違ってないんよ。常に最新の情報をデカデカと張り出す。この方法自体は間違ってないどころかかなり素晴らしい。ただ惜しむべきは、これで管理しようとしたのが「会議」ってことなんだよねぇ。もしこれが「仕様」を扱ってたら、それこそ日曜の夜に進捗会議する必要なんか無かったかもしんないよねぇ。・・・・・・今生きてるのかな、そのプロジェクトにいた方々。風の噂に壮絶なデスマーチになってるという話を聞いたような聞かなかったような・・・。
という訳で本題に進むのですが。フォロー無しかよ>俺。
まずいっこ、ご紹介したい文章があって。
V字モデル【前編】 - コードデザイン最前線(vol.11)
これお勧め。以降は予めこれをお読みになった後に、以下をお読みください。
主題であるV字モデルの話もよくできてるのですが、それ以上に「へぇぇぇ」と思ったのが、話の中で出てくるホワイトボード&付箋紙の使い方でした。トリビアの泉だったら間違いなく20回ボタン連打してるね。一部限定ネタやめろ俺。
無論私自身はこのアイデアを実践したことは無いのですが、これが有効に機能しそうなことは直感的に理解できました。XPだろうが非XPだろうが関係ないわ、これは使える。よし絶対に次はこれやろう。宣言(してどーする俺)。
で、こっから話を2点に分岐させます。まずは本筋。
別文章でホワイトボード云々について語らせて頂きましたが、ホワイトボードが有効に機能する状況って2通りあると考えてまして。
- 共通理解を手助けする記憶補助機(メモリスワップ)として
- 変化する状況を追跡確認するものとして
逆をいえば、これ以外の目的なら何もクソ高いホワイトボード使う必要なんか無いじゃん、とまで言い切れるんじゃないかと。それこそ変わりもしない電話番号一覧なんか、ホワイトボードの使い方としては下の下ですよ。その程度のもん壁にセロテープで直に貼り付けとけってんだ貴重なスペース無駄遣いすんなボケが小学校からやり直せタコ。そこまで言うか私。
で、この特徴を生かすために、
- 誰でも見られる場所に、
- デカデカと張り出してあって、
- いつでも誰でも、
- 最新の状態に変更できる。
ことを心がけることで、ローテクでありながらハンパじゃない威力を発揮できるんですよね。逆を言えばこれらに注意払われないから「高い金出して入れたはいいけど、結局は誰にも使われない最新版のグループウェア」なんてのがごろごろすることになると(笑)。
(ですのでそうゆう意味で言えば、冒頭のヘタレ失敗例(決めつけてますけど)も、実はあながちピントがずれてる訳ではないんです。管理する対象のプライオリティを勘違いしてるだけの話で。誰が考えたって、重要なのは会議の時間なんかよりも仕様の確定でしょ。リソース(ホワイトボードをリソースと言い切ることに若干の抵抗はあるが(笑))は有限なんだからさ。より重要なことの方に頭回しましょうよ。)
もしこうゆうやり方が内外に認知されれば、ずーっとラクになるはずだぜー。クソつまんねぇ進捗会議で本業潰されることもないし。現場のこと何も知らない上司だろうがお客さんだろうが、「知りたかったら勝手にこれ見に来いやボケ」で終わりだし。いやボケとまでは言わないけど。それでも、常に最新になってる=作ってる側が信用できるものをいつでも見せられる、という安心感は現場にとってもお客さんに対しても、かなりPRできるんじゃないですかね?
それこそ3日経てば役に立たなくなる線票を、毎日ウン時間かけてせこせことExcelで修正してるアホ管理職が哀れに見えてくるんじゃないでしょーか。意味ねぇんだよそんなこと!現状を見ろよ!変化を追って見極めろよ!
というのが言いたかったひとつ。かなり煽ってますが。
でここから分岐したもうひとつのお話なんですけど。こっからはおまけみたいなもんです。それであのタイトルなんだな>俺。
この「仕様を張る」という考え方は往々にして賛成なんですけど、ひとつだけ、付箋紙、ってのには私若干の抵抗がありまして。
いや、理由単純で。だって付箋紙って破けやすいしいつのまにか無くなるじゃん(笑)。そんだけ。
という訳でそこから更に想像を膨らませてみたりする。妄想とも言うが。
例えば、付箋紙の代わりに情報カードを使うというのはどうだろう?それこそコレクトの情報カードとかね(注:コレクトの回し者ではありません)。
実際今、このコレクトの3*5、補助6ミリ罫両面(C-532)が手元にありまして、この文章の元ネタもこれに書き殴る形で管理してるんですけど。この厚さと大きさだったら、多少乱暴に扱ってもしなびることもないし。人手を回すにはこっちの方がいいのかもなぁとか思って。
で、これを磁石使ってペタペタ貼っていくことで付箋紙と同様の役割をしていけばどーかなー?とかも考えたりします。大量に磁石買い込む必要あるけどね(笑)。
本当にXPを実践しようとするならば、計画ゲームというのがある以上、絶対に何らかのカードは使うことになるでしょうし。となれば、計画ゲームにも使えて、かつ仕様把握、進捗管理にも使えて・・・それこそ1枚のストーリーカード、タスクカードを骨の髄までしゃぶり尽くす。そんな使い方もできるんじゃねぇかなぁ?とかも考えますな。
次。場所によってはホワイトボードが部屋に1枚しかなくて、それはミーティング用に使いたい・・・なんてこともあるかもしれない。ていうか確実にある。ホワイトボード高いし。
となればホワイトボードはメモリスワップに専念してもらって、仕様管理は情報カード+コルクボード+画鋲、の形で実現しちゃうのもアリかもしんないよね。
ホワイトボード並の大きさのコルクボードっていくらなのかしら?そもそも売ってんのかしら?という疑問は確かにありますが。まぁいざとなればディスカウントストアで20枚位束で買ってきて、ノコギリとクギでトンカンやってしまえば問題あるめぇ。そんでもおそらく素でホワイトボード買うよりも安いはず。
え?その程度の経費も落としてくれない?上司が馬鹿だから?仕方ねぇなぁ。だったらスーパーで段ボールもらってきて、100円ショップでガムテと画鋲買ってきて、ペタペタ切って貼ってでコルクボードの代わりにしてしまえ。
その作業姿見て、それでも「何やってんだ!」と怒るような上司だったら、そんな所にいる価値ないからとっとと辞めちまえ。ついでだからその作った「コルクボードもどき」に自分の辞表貼っつけとけ(笑)。
・・・とこんな具合にぐるぐるとアイデアが回ったりしますわな。最後は完全に妄想ですが。ほっとけ。
まぁ要は肝となる目的がちゃんとあって、それを遂行しようという意志(XPで言うところの勇気)があれば、多少の道具の差異こそあれ、いっくらでもやり方はある、ということですわ。付箋紙だろうが情報カードだろうが、そんな細かいことはある種どーでもいいことであって。各々でそれぞれ「これがラクそう、便利そう」という選択眼をしっかりと持つこと、ということの方が重要なんだと思いまする。
そうゆう試行錯誤が花開けば、それこそ一見くっだらない、遊びにしか取られないような行動でも、それによって一気に風通しがよくなったりすることもあるもんなんです。
まぁとりあえずやってみれ。
つーことを言いたかったりする訳です。はい。
<おまけ(03/06/13追記)>
ホワイトボード高いもんなぁ経費落ちねぇよ、とお嘆きの皆さん。こんなもんはいかがでせう。
ファシリティ - ホワイトボード eXtreme Programming
こちらにて「ホワイトボード的白紙」がまとめられております。XP本で出てくる マイラーボードみたいなもんだね。こちらもご参考に。