育てるしかない


『雑用はさせない』

新人にはドキュメントを渡してほったらかしにしたり、雑用を与えたりということが多いようですが、新人だからこそ、自分が面倒だからこそ、新人には彼(彼女)にとって意味のある、頭を使う仕事だけをしてもらって、単純な雑用はさせないようにしましょう。

「オブジェクト脳のつくり方」p.141より引用)

 いきなり引用からなんですが。ついでなのでちょっと脱線を。それは脱線とは言わない、のツッコミは禁止。

 上の引用は意図的に一文カットしています。それが↓

ただし、「単純な雑用」が新人にとって難しく勉強になる場合は、それもありです。(同引用)

 ↑これなんですが。おそらく著者の牛尾さん、大人的対応も含めて気配り的にこう書いたと思うんですが。やはりここはばっさりカットした方がいいかと。

 というのも、大半の馬鹿共は、

ただし、「単純な雑用」が新人にとって■■■勉強になる場合は、それもありです。

 こう勝手に墨塗って誤読するんです。都合のいいように脳内で勝手に読み替えますから。これですとそっかじゃあ社会勉強つーことでワッハッハ、と雑用の大海に嬉々として新人放り込むことになるのでまったく意味無いです。これお読みの方は気をつけましょう。今時ライオンの崖のたとえなんぞ誰にも相手にされません。

 ごめんね揚げ足取りで。つー訳で本題。支離滅裂だな>俺。

 以前本編でプログラマ見習の方が退職された話書いたんですが。やはりどうにも「雑用と成長の相関関係」ってのが気になってしょうがないんですな。どうも世代間はもとより個人の経験差によっても随分とギャップがあるような気がしてて。

 そこでちょっと掘り下げて書いてみようかのと。

 で、まずいきなり書いてしまいますけど、基本的には私、「雑用は雑用でしかない。成長にはならない」という意見の支持者です。「新人をPGとして、最終的にはエンジニアとして育てるなら」という条件付きではありますが。

 そこで、ここではよく言われる「新人に雑用押し付ける詭弁」を列挙してみようかと思います。でそれを看破していくという試み。

 んじゃちょっと並べてみますか。


・どうせ新人にできることなんか無いんだし雑用してもらった方が。

 単なる教育放棄宣言。放り込みOJTと同レベルで問題外の外。馬に蹴られて死んでしまえ付き合ってられっか、の一言で終わりなんですけど一応もう一言。

 雑用に逃げるのは簡単ですけど、結局はどっかで誰かが教え込まないと。独学以外に本人が業務知識覚える術は何一つないんですよ。その間ずーっと「雑用しかできない人」のままで眠らせておくことになる訳ですぜ?それこそ給料の無駄遣いじゃないの?

 本当にコストカットしたいんだったら(&育てる気無いんだったら)雑用専門のパート雇った方が安くあがるぜ?

・勉強して給料貰ってるんだからそれ位のことはやってもらわないと。

 自分で勉強できる時間を与えてやってる。だからそれ以外は雑用こなせ。

 これって一見普通のトレードオフに見えるんですわ。特に雑用与える先輩や上司にとっては。

 でもちょっと待って。下から見た場合、これもまた単なる職務放棄にしか見えない側面があるんですわ。以下実際に聞いたことがある愚痴。

「自分が必要な時だけ使いまわして、それ以外はほったらかしかよ。本読んどけってこの本のどこを読めばいいんだよそれ位教えろよ馬鹿が。この先輩使えねー。」

 どう?今は教える立場の皆さん。自分が新人の時こんなこと思わなかった?その時の不快感忘れてない?

 ちなみに私は「独学」てのは、個人でやるならともかく企業やプロジェクトとしてやらせるにはリスクのある勉強法だと思ってます。いざ実践となった段階で実は全然わかってなかった、なんてこともよくあるでしょ?どっちにしろ「覚えさせる」ことはできても「本当に覚えたか」を判定するのは本人にはできない訳で。フィードバックと反復は絶対に必要。それもこまめに。

・社会人たるもの、最低限のマナーは習得してもらわないと。

 マナーね。これもよく使われるよな実際。

 まぁ確かに電話応対とかお客さんへのお茶だしとか(私はほぼ未経験だけど)、「一度位やっておいても損は無い」という類のものもある。

 でもさ。それを2週間だけやらせるならまだしも、結局は半年一年。下手すれば次の新人が入ってくるまで、ひたすら「社会勉強」が続くのはどうゆうことなんですかね?

 脳味噌の時間判断壊れてるんかお前は、の一言で終わってしまうんですけど。

 いまだにこんなところに精神論ぶつけて来る能無しジジイもいまだに多いしね。何が「新人は30分早くきて掃除しろ。夜は掃除して30分遅く帰れ」だふざけんな。腐ってんのかてめぇの脳味噌は。

 掃除1年続けるだけでプログラミングの神になれるんだったら誰も苦労しねーよ!つーかそれだったら俺も磨く!光沢出るまで磨く!

 そうじゃねーだろ>俺。

・こちとら忙しいんだよ!素人相手に構ってられっか!

 おそらく現実的に一番多いのはこの類なんじゃないのかな?ホントにこの声は至るところで聞きます。「こっちだって手伝って欲しいよ!でもそんな暇無いんだよ!誰か助けてくれよ!(血涙)」

 ・・・・・ご愁傷様です、と合掌したい位なんですけど。

 実はこうゆうパターンこそ新人鍛え上げるには格好の場になる、という方向にシフトできませんかね?それも雑用とかじゃなくて、今抱えてる問題にコミットさせることで仕事兼教育、ということもできそうな気がするんですけどね。つーかそれこそが本来のOJTでしょ。今そこかしこで行われてるOJTは単なる真似事マガイモノ。

 もちろん(言い方は悪いけど)足手まといが増える分、一人でやるよりは手間も時間もかかるのはわかります。でもそれでその部分の仕事把握してくれて投げられるようになったら、自分は「その他」の部分に集中できる訳ですぜ?

 多少なりとも教わる側にやる気があれば「役に立ちたい」という願望は少なからずあると思うんですな、経験上。だったら誰でもできる雑用なんかよりも「ここは君にやって欲しい」的な方向でその願望を叶えさせてやる、というのもできるんじゃないですかね?

・んなこと言ったって雑用は山ほどあるんだよ!誰がやれってんだよ!

 んな逆ギレされてもコマってしまうんですが。

 一言で終わらそう。お前がやれ。以上。


 なんか最後詭弁の列挙というよりは漫才みたくなってしまったんですけど。まぁいっかいつものことだし。おい。

 まぁ文句だけ言っててもこの世から雑用が無くなる訳でも無し、誰かがこなさなきゃならない、という現実もちゃんと存在する訳で。

 つー訳で私としては、雑用対策としては以下の方法での対処が現実的なんじゃないかな、と思っております。

 え?お前ギャグで言ってんだろって?

 半分ギャグですけど半分マジです。わはははは。電波と呼ぶなら呼べやカス共!外野から言われても痛くも痒くもねぇんだよ!文句あるんだったら目の前でぬかせ腰抜け!

 自分が逆ギレしてどーする>俺。

 えっとまじめな話。一番上の一般職やパートタイム採用ってのは規模の大小を問わず、どこの企業でも再検討していい項目だと思います。コスト削減の名目の元、ここを切ってしまったがために本業に支障をきたしてる例はそれこそ掃いて捨てる程存在していますから。

 上にも書きましたけど、新人使いまわすよかこっちの方が安いし効率的です。本業で忙しい社員を雑用から守る唯一の手段といってもいいかもしれない。この辺の事情は例の如く「ゆとりの法則」や「ピープルウェア」でも触れられていますのでご参考に。

 で、上司の雑用ってのはあくまで補助的意味合いです。上司は上司で忙しすぎて、行うべき判断をする時間が無い、ってのもどこかしこで聞く話ですし。そうゆう意味では上司は上司で雑用を誰かにこなしてもらって己の本業に専念する、というのは確かに必要だと思います。

 でもその一方で、部下の仕事遂行の障壁となりうるものを取り除いてやる、というのも上司側の重要な「本業」だと思うんですな。別に率先して雑用やれと言ってる訳ではない。「いざとなれば本業回すために雑用もやってやるぜぇ」位でちょうどいいと思うんですな。

 少なくとも「俺は上司なんだからこの仕事は俺がやるべきではない」なんて論理、今の世の中じゃ通用しないどころか、唾吐かれて顔面踏まれてサイフ盗まれるのがオチじゃないかと。オヤジ狩りかよ。

 で、最後なんですけど。この手の話題にかんしては新旧問わず至るところで目にし耳にし、なんですが。

 結局は長い目で見た場合、新人育てる以外に逃げ道なぞ存在しないんですよね。誰だって始めは新人なんだし。

 だからこの辺の主張は「オブ脳」とダブりますけど、雑用おしつけて自力で立てるまでに無駄な期間を過ごさせるよりも、とっとと独り立ちしてもらって動いてもらったほうが後々ラクになるんじゃないですかねぇ?新人さんにとっても自分にとっても。

 結局は誰かが支えてあげないといつまでも(傍から見たら頼りない)独力に頼ることになってしまう訳ですし。またイヤな言い方になってしまうかもしれんけど。手ぇかかる期間は短いほどいいんじゃないの?とか考えてしまいますな。

 一人前になる前に崖の下に転落していったライオンの子供をたくさーん見ちゃってるだけに。

 ナイーブになっちゃうんよ。この手の話は。


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