いらないものを作るおしごと


(おことわり)今回敢えて感情オンリーで書いておりますので、人によっては露骨な不快感を感じる恐れがあります。ムカついたらその時点で読むのやめてください。どっちかといったら本編に書くべきことなんだろうけど、敢えてこっちで。隔離棟だし。


 

 「まぁいらないっちゃあいらないんだけど。あるんだったら使いたいよね」

 とある打ち合わせの席にて、某お客さんが発した何気ない一言。場の流れでぽつりと出た言葉ですし、誰も触れることなく流れていったんで私も特に何か言うということもなかったのですが。

 後から後からボディブローのようにズキズキと効いてきて。

 現在自殺しそうな勢いで激しく落ち込んでおります。今ならビル20階からダイビングできますね。しませんが。当たり前だ。誰だいっそのこと飛び降りてしまえとかゆってるヤツは。はい一人ボケツッコミそこまで。キリが無い。

 しかしまぁ今の私にとっちゃ致命傷でしたねぇこれは。フレーズがアタマん中ぐるぐる回ってます。

 考えれば考えるほど、これって死刑宣告と一緒じゃん?こんなシステムいらないって意思表示じゃん?なんでこんなこと言われてその場の誰も反論できなかったんだ?って俺もだが。まぁ実際誰も反論できない「事実」だったんだろうな。技術云々とかそんなもん関係無しに。

 まぁ仮にも自称か他称かはいざ知らず、プログラマ稼業6年か7年かそれ位やってはきましたけど。初めて抱いた感情かもしれません。「辞めたい」じゃなくて「辞めてもいいかな」と思ったのは。この両者全く似て非なるものなので注意。

 おそらくこのシステムが稼動しようがしなかろうが、お客さんにとっては「どーでもいい」ことなのでしょう。劇的に何かが変わる訳ではない。無くても業務は回っていく。代替手段も山程ある。「なきゃ困る」でもなく「あったら便利」でもなく「あってもいいんじゃない?」この程度。

 だったら俺もう用済みじゃん?


 やれ真性マゾだの人生捨ててるだのデジタルドカタだの揶揄されつつ、なぜ人は超人的な献身を重ねて、時には本当に命捧げてまでしてシステム作りに没頭するのか。

 単純に三度のメシよりコーディングが好きな人もいるでしょうし。見返りとしての「報酬」を重視する人もいるかもしれません。その辺は人それぞれでしょうが。

 これらと同じ位のモチベーションの源に、「今作ってるシステムで誰かの役に立つ」という予感または確信があるから、というのはかなり強いと考えてるんですよね。命の次に大事な(人によっては命より大事な)お金使ってわざわざシステムを作ってくださいということなんだから、どこかしら「欲求」てのがあるはずなんです。なきゃおかしい。

 一方の作る側にしてみたら、別にそのシステムで革命起こしてやろうとか長者番付載ってやろうとか、そんな大袈裟なこと思っちゃいない訳ですよ。このシステムで毎日残業してるお姉さんが定時で帰れるようにしたい、そんな程度の「欲求」であっても、案外とシステム作ろうという「動機」には充分に足りたりすると。

 結局は、実際にそれを使ってくれて、かつ「便利だ」とか「助かる」と思ってくれる、てことが生命線ですから。それが満たされて初めて「あぁなんとかなった」と思える。逆を言えば誰も喜ばないし使う必要も無い、だーれも有り難がらない糞システムなんぞに何が悲しゅうて人生捧げなきゃならんのだっつーの。

 この差大きいよね。どう考えても。


 こないだ読んだ「『ひらきこもり』のすすめ」って本の冒頭にこんな一節がありました(図書館に返しちゃったんで記憶頼りですスマン)。今僕達はやらなくていい仕事をしてると。穴を掘って、それを綺麗に埋めて、さらにもう一度それを掘り返す、そんな行為を僕等は「仕事」として有難がってると。

 トム・デマルコは昨年の講演の際にこんなことを言ってました。簡単なものはもう全部作ってしまったと。もうこの世には難しいものしか残っていないと。

 これらの言葉も上の「いらないっちゃあいらない」と混ざりあって頭の中でメリーゴーランド状態となってます。脳内でバターができそう。どんなバターだそれは。味噌味か。

 でも現実問題として、私は「役に立たない」システムを作ってしまっているということなんだろうし。まぁそれは潔く認めてしまいましょ。そうゆう結果だったということなんだし。

 でもさ。じゃあ「システムが欲しい理由」って何よ?需要が無いのにシステムを作るってどうゆうことよ?単に予算消化したかっただけ?売上伸ばしたしたかっただけ?

 ひょっとしたらもう何年も前から。私の仕事は「システム作ってお金をもらうこと」なんかじゃなくて「システムらしきものを作るフリをして、悶え苦しむ姿を見てもらって、哀れみのお金をもらうこと」になっちゃってるのかなと。芸人かよと。芸人は笑わせてお金をもらう分、芸人の方が格段に有意義じゃねーかと。

 そんな風に考えちゃったらね。

 なんかもう全てが馬鹿馬鹿しくなりました。


 とまぁこんな感じで。すいませんね長々と金魚のフン並の愚痴書き並べちゃって。ここまで読めたアンタはエラい。いやマジで。まぁこうゆうことも時には書いておかないといかんでしょってことで。人間そんな客観視に徹してられっかっつーの。

 次どうしましょうかと考えるとそれはそれで暗ーくなってしまうんですけどね。正直転職が解決策になるとは思えないし。おそらくどこも一緒。かといって糞システムで金騙し取る詐欺師にもなりたくないし。この辺はまだまだ踏ん切りがついてないのかもしれませぬ。

 でもまぁ私一人だけならともかく、業界全体としてはどーなんでしょうね?需要そのものが頭打ちになるであろうことは現時点で既に確実ですし。作っては直し作っては直しの引き伸ばし戦法がいつまでも通用するとも思えんし。既に世の中は「いらないシステムをムリヤリ作ることによってかろうじて生きながらえている」方向に向かってるのかもしれませんな。

 私自身としては、結果的に「システム業界」という括りがなくなってしまっても一向に構わないんですけどね。むしろユーザサイドに吸収されていった方が健全だと思う位ですし。

 ただ一朝一夕でガラリと情勢が変わる訳でもないですからねぇ。当面はとっくに摩耗しきった椎間板の如く、軋みに呻き続けなきゃいけないってことを意味してるのかもしれませんな。やれやれだ。まぁ皆さんも気を付けましょう。擦り切れてしまっては何にもなりませぬ。無論自戒も込めて。

 んじゃ以上吐露終わりっ。ここんとこ暗いネタ続いてるからちったぁ明るいことも書きたいね。

 ってこのサイト自体、明るいこと書いたことがあるのか>俺。


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